「ま」一覧
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ま
正岡子規 (まさおか しき)慶応3年(1867)~明治35年(1902)35歳。 愛媛県生れ。東京都在住。東大を中退し新聞「日本」に入社。俳句欄を創り、虚子・碧梧桐を擁し俳壇の一大勢力となる。短歌,新体詩,写生文でも活躍。結核に侵されながら強靭な精神力、文学革新に対する情熱を最後まで持ちつづけた。*旧制第一高等中学校本科出身 東大文科に学ぶ。句集:『獺祭書屋俳句帖抄 上』『春夏秋冬』 著作:『獺祭書屋俳話』『俳諧大要』『俳人蕪村』『墨汁一滴』『仰臥漫録』『病状六尺』『子規全集』ほか柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺いくたびも雪の深さを尋ねけり三千の俳句を閲し柿二つ鶏頭の十四五本もありぬべし糸瓜咲て痰のつまりし仏かな正木ゆう子 (まさき ゆうこ)昭和27年(1952) 熊本県生れ。埼玉県在住。 「紫薇」能村登四郎に師事。昭和48年「沖」入会。同人を経て、「紫薇」同人。第14回俳人協会評論賞・第53回芸術選奨文部科学大臣賞・第51回蛇笏賞受賞句集:『水晶体』『悠HARUKA』『静かな水』『羽羽』 著作:『起きて,立って、服を着ること』ほか螢狩うしろの闇へ寄りかかりかの鷹に風と名づけて飼ひ殺す水の地球すこしはなれて春の月オートバイ内股で締め春満月やがてわが真中を通る雪解川春の月水の音して上りけり真炎天原子炉に火も苦しむか十万年のちを思へばただ月光松澤 昭 (まつざわ あきら)大正14年(1925)~平成22年(2010)85歳。 東京都生れ。 「四季」名誉主宰飯田蛇笏に師事。「雲母」同人。石原八束と東京に「青潮会」を創り、「雲母」の青年俳人の拠点としての役割を果す。八束の「秋」創刊に参画。のち、「四季」を創刊主宰。平成16年主宰を雅世に譲る。第4代現代俳句協会会長を経て特別顧問。第8回現代俳句大賞受賞。※法政大経済学部出身句集:『神立』『安曇』『父ら』『山処』『安居』『麓人』『面白』『乗越』『飛』『松澤昭全句集』ほか凩や馬現れて海の上夜は子の眼しきつめ流氷期春塵をかぶり一億より出づるたましひのいたるところに泳ぎつく天上のやうに耕しはじめたる松本たかし (まつもと たかし)明治39年(1906)~昭和31年(1956)50歳。 東京生れ。虚子に師事。24歳で「ホトトギス」の巻頭。「笛」を創刊,後進の指導に当たった。親友の茅舎は、たかしを「生来の芸術上の貴公子」と評した。句集:『松本たかし句集』『鷹』『野守』『石魂』『火明』秋扇や生れながらに能役者花散るや鼓あつかふ膝の上仕(つかまつ)る手に笛もなし古雛チチポポと鼓打たうよ花月夜炭竈に塗込めし火や山眠る前田普羅 (まえだ ふら)明治17年(1884)~昭和29年(1954)70歳。 東京生れ。虚子に師事。大正2年、俳句界に二人の新人を得たり(もう一人は石鼎)と虚子に言わしめ華々しくデビューした。昭和4年「辛夷」主宰。戦後は孤独のうちに病没。*旧制開成中学(現開成高校)出身 早大英文科に学ぶ。句集:『普羅句集』『春寒浅間山』『飛騨紬』『能登蒼し』ほか駒ヶ嶽凍てゝ巌を落しけり奥白根かの世の雪をかがやかす立山のかぶさる町や水を打つ雪解川名山けづる響かなオリオンの下の過失はあまりに小増田まさみ (ますだ まさみ)昭和12年(1937) 鳥取県生れ。高校時代自由律俳句を学ぶ。20代伊丹三樹彦の「青玄」に入会。昭和50年稔典の「現代俳句」に参加。のち同人誌「幻想時計」を発行するも平成17年終刊。以後無所属。句集:『ルソーの森深く』『季憶・Memories』『冬の楽奏』『ユキノチクモリ』『遊絲』 著作:詩集『プロッタージュの沼』サルトルや鯨や釘や春の沖泣きべたや山上に行くかたつむりあかんぼうの空に鴨がつきささっているよ松岡貞子 (まつおか さだこ)大正6年(1917) 兵庫県生れ。東京都在住。 「夢幻航海」高柳重信に師事。「俳句評論」「羊歯」同人。句集:『氷笛』『桃源』元日の水欲しき沼ばかり見ゆ人の死や井戸の廻りを如何にせむ眠りつつ春の狐を奉る人の死は一日がかり花蓆松崎鉄之介 (まつざき てつのすけ)大正7年(1918)~平成26年(2014)95歳。 神奈川県生れ。 「濱」元主宰はじめ「馬酔木」に投句。のち、「石楠」入会。大野林火に師事。昭和22年「濱」同人参加、一時編集を担当する。昭和57年林火の死去により「濱」を継承主宰した。平成25年終刊。俳人協会会長を歴任。俳人協会顧問。石楠賞・第22回俳人協会賞・第18回詩歌文学館賞受賞。※旧制横浜商専(現・横浜市立大)出身。句集:『歩行者』『鉄線』『信篤き国』『玄奘の道』『巴山夜話』『長江』『黄河』『花楷樹』 著作:『濱俳句の系譜』信篤き国に来たりぬ花楷樹ただ灼けて玄奘の道つづきけり驢馬に乗る子に長江の日永かな象泳ぐ秋の出水のメコン河小さき町のその町だけの花火かな松根東洋城 (まつね とうようじょう明治11年(1878)~昭和39年(1964)86歳。東京生れ。夏目漱石に師事。国民新聞の国民俳壇を虚子から引継ぎ蛇笏や喜舟らを指導した。大正4年「渋柿」創刊。のち野村喜舟に「渋柿」を譲る。芸術院会員。*京都帝大法科出身句集:『東洋城全句集・全3巻』 著作:『黛』『俳諧道』ほか黛を濃うせよ草は芳しき渋柿の如きものにて候へど海の中に桜さいたる日本かな冬木より人の淋しく住む戸かな横ざまに雨白々と牡丹かな松本澄江 (まつもと すみえ)大正10年(1921)~平成18年(2006)84歳。 東京都生れ。 「風の道」主宰「ホトトギス」「玉藻」に投句。戦後「みちのく」「若葉」に拠る。句集:『紙の桜』『冬香水』『鏡』『天つ日』『西施桜』『花押』『櫻紅葉』ほか妻の日の短き記憶鴬餅終ひ湯の身に遠き柚子近き柚子涅槃図の前をこの世の猫通る眞鍋呉夫 (まなべ くれお)大正9年(1920)~平成24年(2012)92歳。 福岡県生ま。東京都在住。 *俳号:天魚 小説家・連句作家 「紫薇」長く作家壇一雄に兄事。昭和14年阿川弘之、島尾敏雄らと同人誌「こころ」創刊。俳句は父(俳号天門)に学ぶ。永い中断の後連句とともに句作再開.昭和49年東京義仲寺連句会に参加。平成14年「紫薇」入会。第44回読売文学賞・第30回藤村記念歴程賞・第8回鬣TATEGAMI俳句賞・第44回蛇笏賞受賞。※旧制福岡商業出身。文化学院に学ぶ。句集:『花火』『雪女』『真鍋呉夫句集』『月魄』 著作『二十歳の周囲』『評伝火宅の人 壇一雄』『露のきらめき 昭和期の文人たち』『天馬漂白』ほか雪女溶けて光の蜜となり花冷のちがふ乳房に逢ひにゆく初夢は死ぬなと泣きしところまで死者あまた卯波より現(あ)れ上陸す骨箱に詰めこまれゐし怒涛かな襤褸市の隅で月光売ってをり鉄帽に軍靴をはけりどの骨も去年今年海底の兵光だす丸山海道 (まるやま かいどう)大正13年(1924)~平成11年(1999)75歳。 京都生れ。 「京鹿子」鈴鹿野風呂の次男。昭和23年より「京鹿子」の編集に携わる。昭和46年野風呂の死去により主宰を継承する。10歳の頃ホトトギスに投句,入選をしている。※京大文学部出身。句集:『新雪』『獣神』『青嶺』『露千乃』『館雁』『風媒花』『遊行』花洛かなかりんは落ちて石の傷添水闇小石が石に育つとき雪まろげ母こそ消えぬ消えにけり丸山佳子 (まるやま よしこ)明治41年(1908)~平成26年(2014)106歳。 奈良県生れ。京都府在住。 「京鹿子」名誉顧問句集:『緋衣』『神よりの賜暇』『虎の巻』『和名』『糸切歯』『白壽』吐き出せる電光ニュースにくさめせり折紙のやうに抱かれ春著の嬰あの日から日傘をまはす五十年松崎 豊 (まつざき ゆたか)大正10年(1921)~平成18年(2006) 福井県生れ。東京都在住。 「面」森川暁水,三谷昭に師事。「面」「雷魚」同人。古人形児島高徳木に凭れもちあるく葉月なか日の籠枕だしぬけに茂吉の馬穴明易し前田吐実男 (まえだ とみお)大正14年(1925) 新潟県生れ。神奈川県在住。 「夢」主宰。小学校時代から句作。石塚友二の影響を受ける。「秋刀魚」「地平」同人を経て「夢」創刊。第55回現代俳句協会賞受賞。句集:『妻の文句』『夢』『鎌倉是空』『くだくだ是空』猫が出た穴があるだけ春炬燵大寒の橋を渡ればあしたなり人月や嘘つく人に逢いにゆく増田河郎子 (ますだ かわろうし)昭和4年(1929)~平成28年(2016) 三重県生れ。 「南風」主宰山田麗眺子に師事。昭和35年「南風」入会。主宰の死去により平成6年「南風」継承主宰。句集:『』死にもせず人が減りゆく霧の村直立の滝林立の杉の奥贋作を掛けて端午の祝いかな松井利彦 (まつい としひこ)昭和2年(1927)~平成18年(2006) 岐阜県生れ。山口誓子に師事。昭和29年「風」同人。昭和35年「天狼」同人。昭和56年から終刊の平成6年まで「天狼」編集長。「天伯」創刊主宰。文学博士。※立命館大・名古屋大学大学院出身句集:『紙すきうた』『鵜飼川』『美濃の国』 著作:『近代俳論史』『正岡子規の研究』 ほか多数。遊舟に灯が点く鵜川暮れざるに下流より見る鵜篝は太古の火布烏帽子鵜匠尖らす鵜飼前松本 旭 (まつもと あさひ)大正7年(1918)~平成27年(2015)97歳。埼玉県生れ。 「橘」名誉主宰楸邨、源義に師事。「寒雷」を経て、「河」に同人参加。昭和53年「橘」創刊主宰。平成27年主宰を退く。埼玉大学名誉教授。河賞・第1回俳人協会評論賞受賞。※東京文理科大学(現筑波大)出身。句集:『猿田彦』『蘭陵王』『天鼓』『長江』『卑弥乎』『酔胡従』『凱旋門』『浮舟』楼蘭』『天恵』 著作:『村上鬼城研究』『風雅の魔心』ほか玉虫の全身青くなるまでとぶ生々流転この世は桜月夜かな胡桃落つる音を聴かせよここ古湯(ことう)たかが泥鰌ぞ手掴みにして見せう現そ身のしずけささても菊の前松本恭子 (まつもと きょうこ)昭和33年(1958) 長崎県生れ。「吟遊」伊丹三樹彦に師事。大学生時代に三樹彦を知る。昭和56年「青玄」入会。無鑑査同人。「吟遊」同人。青玄新人賞・ 青玄賞受賞。句集:『檸檬の街で』『夜の鹿』 著作:『二つのレモン』セロリバキバキ喰って 体内に露いっぱい檸檬シュパリ カリ わたしの敵はわたし的野 雄 (まとの ゆう)大正15年(1926) 東京都生れ。「野の会」「天狼」「青玄」を経て昭和44年楠本憲吉の「野の会」に参加。平成元年「野の会」継承、のち鈴木明に移譲。句集:『木石』『風來』『流連』『斑猫』『円宙』元日の暮るる空ろを誰も言わず一月二日写真館出て逐電す黛 執 (まゆずみ しゅう)昭和5年(1930) 神奈川県生れ。 「春野」主宰。安住敦に師事.昭和41年「春燈」入会。平成5年「春野」創刊.俳人協会顧問。昭和49年春燈賞・第43回俳人協会賞受賞。句集:『春野』『村道』『朴ひらくころ』『野面積』『畦の木』『春の村』大いなる山のふもとの白障子寒拆のつぎの一打の遥かなる雪婆ふはりと村が透きとほるぐんぐんと山が濃くなる帰省かな松田ひろむ (まつだ ひろむ)昭和13年(1938)高知県生。東京都在住。 「鴎座」代表高校時代より句作.「氷海」などに投句。1972年古澤太穂に師事。「鷹」「道標」「俳句人」同人。のち「鴎座」創刊。第5回道標賞・第9回新俳句人連盟賞・道標同人賞・第28回現代俳句評論賞受賞。句集:『黄海』『飛景』海の雫冷ゆる爆薬庫の沖縄ベトナムパネル吊りおだまきの点(とも)り花白息を機械に交わす仮眼覚め白鳥なり大川小学校津波の子正木浩一 (まさき こういち)昭和17年(1942)~平成4年(1992)49歳。 中国青島生れ。 「沖」能村登四郎に師事。昭和47年「沖」入会。同人。平成3年発病、一年閒の闘病の甲斐なく急逝。沖新人賞受賞。句集:『槇』、遺句集『正木浩一句集』*妹、正木ゆう子の編によるすれ違ふべき炎天の人遥かうつし世に蛇の衣ぬぐしじまありわが死後へ澄みゆく梅酒漬けにけり冬木の枝しだいに細し終に無し松瀬青々 (まつせ せいせい)明治2年(1869)~昭和12年(1937)67歳。 大阪市生れ。一時「ホトトギス」の編集に当たるも、帰阪し明治34年「宝船」(のち「倦鳥」)創刊主宰。関東のホトトギスに対立し、関西俳壇に君臨した。句集:『妻木』『鳥の巣』『松苗』鳥倦んで春漲るや淀の橋玉虫の厨子により見る薄暑かな氷浮く耳成山の野蔭かな桃の花を満面に見る女かな日盛りに蝶のふれ合ふ音すなり前川弘明 (まえかわ ひろあき)昭和10年(1935)長崎県生れ。 「海程」・「拓」代表金子兜太に師事。昭和37年「海程」創刊同人。平成15年「拓」創刊。平成28年1月号で終刊。第17回九州俳句賞・第27回海程賞・第65回現代俳句協会賞受賞。句集:『草に上の午餐』『柵の中の風船』『樹の下の時間』『緑林』鵙日和まっすぐ古書店まで歩く水平線のように朝寝しておりぬ花の雨ガス管に家つながれて花見酒バンザイをしてみな倒る前田 弘 (まえだ ひろし)昭和14年(1939)大阪府生れ。 『歯車』代表鈴木石夫に師事。「風(のちの歯車」創刊に参加。平成18年「歯車」代表。現代俳句協会顧問。第66回現代俳句協会賞受賞。句集:『掌の風景』『光昏』『余白』『まっすぐ、わき見して』若水を生まれる前の母が汲む一度だけ産んでもらいし昭和かな畳屋に青大将を下げて行く前田霧人 (まえだ きりひと)昭和21年(1946)香川県生れ。 大阪府在住。 「天街」「草樹」「京大俳句」「十七音詩」「火星」「草苑」を経て「天街」同人。「草樹」会員。現代俳句協会会員。第7回山本健吉文学賞(評論部門)受賞。句集:『えれきてる』 著作:『鳳作の季節』夜桜は触るるそばより壊れけり戻れぬ橋いくつ渡りしつくつく法師風鈴の乱れる闇に眠りけり黛 まどか (まゆずみ まどか)昭和37年(1962) 神奈川県生れ。吉田鴻司に師事。「河」入会。のち女性俳誌「月刊ヘップバーン」を刊行。父は黛執氏。平成18年3月号で終刊。河新人賞・文学の森第2回山本健吉賞受賞。句集:『B面の夏』『夏の恋』『花ごろも』『くちづけ』『京都の恋』『忘れ貝』『てっぺんの星』さくらさくら今宵は誰を連れてゆくさくらさくらもらふとすればのどぼとけ松井貴子 (まつい たかこ)昭和38年(1963) 岐阜県生れ。神奈川県在住。 「天為」山口誓子、有馬朗人に師事。「天狼」に学ぶ。「天為」「天伯」同人。父は松井利彦氏。学術学博士(東大)比較文学比較文化専攻。日本比較文学会賞受賞。著作:『写生の変容ーフォンタネージから子規、そして直哉へ』『志賀直哉の母親たち」』ほか停電の海や鯨が股ぐらにマブソン青眼 (まぶそん せいがん)1968年南フランス生まれ。長野県在住。 「海程」金子兜太に師事。「海程」同人。学術博士(早大)比較文学・一茶研究者。第3回雪梁舎俳句大賞受賞。句集:『空青すぎて』『天女節』『アラビア夜話』『渡り鳥日記』 著作:『一茶とワイン』ほか葉巻の灰おとす暮春のセーヌかなみどりごの実梅拾ふセシウムも
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