「し」一覧
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し
渋谷 道 (しぶや みち)大正15年(1926) 京都府生れ。大阪府在住。 「海程」・「紫薇」同人代表。平畑静塔に師事・橋閒石に連句を学ぶ。「雷光」「夜盗派」「縄」同人等を経て、昭和52年「海程」に同人参加。「紫微」創刊代表。第18回海程賞・第31回現代俳句協会賞・第10回現代俳句大賞・第46回蛇笏賞受賞。句集:『嬰』『渋谷道句集』『藤』『桜騒』『縷紅葉』『紫微』『素馨集』『蕣帖(あさがおちょう)』『鴇草紙』『蘡(えび)』『渋谷道俳句集成』炎昼の馬に向いて梳る人去れば藤のむらさき力ぬく灰のように鼬のように桜騒(さくらざい)西行忌菓子のはなびら食うばかり折鶴をひらけばいちまいの朧阿形吽形の間のあきかぜに吹かれけり米袋ひらいて吹雪みせてあげる蜃気楼衣詰まりたる蔵ならむ青嵐いまぞ阿修羅の六臂欲し幕引きつ刺繍(ぬひ)の落花に巻かれをり篠原鳳作 (しのはら ほうさく)*旧名 雲彦明治39年(1906)~昭和11年(1936)30歳。 鹿児島県生れ。「ホトトギス」「京鹿子」「かつらぎ」「馬酔木」等に投句。吉岡禅寺洞に師事、「天の川」に投句。同人誌「傘火」創刊に参加。30歳で夭逝。※旧制七高・東京帝大法学部政治学科出身句集:『篠原鳳作全句文集』しんしんと肺碧きまで海の旅満天の星に旅ゆくマストあり旅ゆくと白き塑像の荷をつくり赤ん坊の踵まつかに泣きじゃくるかはほりは月夜の襁褓嗅ぎました蟻よバラを登りつめても陽が遠い芝 不器男 (しば ふきお)明治36年(1903)~昭和5年(1930)26歳。 愛媛県生れ。「ホトトギス」「天の川」に投句。天の川の代表作家になる。横山白虹から「彗星の如く俳壇の空を通過した」と言われた作句活動わずか4年の夭折の作家。*旧制松山高校(現・愛媛大学)出身 東大、東北大に学ぶ。句集:『不器男全句集』『麦車』ほか永き日のにはとり柵を越えにけりまなかひに青空落つる茅花かな寒鴉己(し)が影の上(へ)におりたちぬ白藤や揺りやみしかばうすみどり向日葵の蘂(しべ)を見るとき海消えし柴田白葉女 (しばた はくようじょ)明治39年(1906)~昭和59年(1984)77歳。 兵庫県生れ。千葉県在住。 「俳句女園」主宰。飯田蛇笏に師事。「雲母」同人。高橋淡路女と並んで雲母女流の中心作家。「俳句女園」創刊。第17回蛇笏賞受賞。※東北帝大法文学部国文科出身句集:『遠い橋』『月の笛』ほか陸奥の海くらく濤たち春祭水鳥のしづかに己が身を流すまんさくは薄日の力溜めて咲く隙間風ひとすぢこころ無惨なり嶋田青峰 (しまだ せいほう)明治15年(1882)~昭和19年(1944)62歳。 三重県生れ。東京都在住。徳富蘇峰の国民新聞社に入社。虚子の下で文藝欄を担当。虚子が去り、以後この文藝欄を主宰。合間に「ホトトギス」の編集もおこない、8年間編集責任者も務めた。大正11年篠原温亭と「土上」を創刊。のち、「土上」主宰という責任からか軍国政府の不当な新興俳句弾圧事件に連座。留置場で喀血、まもなく世を去った。*早稲田大学出身翻訳:『絆』(バーナード・ショー) 『武器と人』(ストリンドベルヒ) ほか 著作:『青峰集』『俳句読本』『俳句の作り方』ほか而(しこう)して蕃茄(トマト)の酸味口にあり我が影や冬の夜道を面伏せてネル着たき肉塊(にく)の女に聖書かな晝寝覚の大事去りたる西日かな時雨傘相傾けて別れけり島津 亮 (しまづ りょう)大正7年(1918)~平成12年(2000)81歳。 香川県生れ。大阪府在住。 「海程」鈴木六林男らの「青天」を通じ西東三鬼に師事。「雷光」「夜盗派」「縄」「ユニコーン」等の同人。「海程」創刊同人。※旧制大阪外国語学校(現・大阪大学外国学部)出身句集:『紅葉寺境内』『記録』『唱歌』『亮の世界』脚のびて死ねり蛙のことなれど父酔ひて葬儀の花と共に倒る氷挽く帯がほどけてならぬなり怒らぬから青野でしめる友の首えつえつ泣く木のテーブルに生えた乳房ALONE!吹き上ぐる褐色の波濤の馬車清水径子 (しみず けいこ)明治44年(1911)~平成17年(2005)94歳。 東京生れ。神奈川県在住。 「らん」秋元不死男に師事。姉は不死男の夫人。「氷海」同人。不死男の没後、私淑する永田耕衣に師事。「琴座」同人。「らん」創刊。第17回詩歌文学館賞・第4回鬣TATEGAMI俳句賞受賞。*旧制府立第一高女(現・都立白鴎高校)出身句集:『鶸』『哀湖』『夢殻』『清水径子全句集』ねころんでいても絹莢出来て出来て野菊道笑ひおくれし写真です生前の葦かしばらく話さうよ倒れたる板間の葱に似て困る風呂敷がゆるみて桃の匂ひせり慟哭のすべてを蛍草といふ寒卵こつうん他界晴れわたり生きている限りは老婆秋ふかし品川鈴子 (しながわ すずこ)昭和7年(1932)~平成28年(2016)84歳。 愛媛県生れ。兵庫県在住。 「ひよどり連句会」主宰。山口誓子,橋閒石に師事。「天狼」に投句、のち同人。平成6年「ぐろっけ」創刊主宰。平成26年「ぐろっけ」終刊。日本連句協会副会長。昭和41年七曜賞・神戸市文化活動功労賞・平成21年兵庫県ともしびの賞受賞。俳句研究五十句競作に佳作入賞を続けた。※旧制神戸女子薬専(現神戸薬科大学)出身。句集:『水中花』『漠』『鈴蘭』『品川鈴子句集』『真澄』『船出』『六音』『鮨』『龍宮の客』 著作:『「去来抄」とともに』『誓子の宇宙』ほか深き溝ありて花野をひきかへす道行きの往きつ戻りつ藁塚まで踊る輪に老婆がひとり逆廻り枕木は男の歩幅草いきれねんねこの児の流し目を母知らず篠崎圭介 (しのざき けいすけ)昭和9年(1934)~平成16年(2004)69歳。 愛媛県生れ。 「糸瓜」主宰富安風生に師事。昭和27年「若葉」入会、同人。昭和30年第2回若葉新人賞受賞。昭和51年「糸瓜」を継承主宰。※立教大文学部出身句集:『知命』『旅信』『花』『朴』ほか山桜背に蒼穹を負ひにけり旅信したたむ昨日雪けふも雪舞ふ足袋の真白きうらみつらみかな満開の涅槃ざくらを夜が裏(つつ)む男ありけり花冷をさまよへり嶋田麻紀 (しまだ まき)昭和19年(1944) 茨城県生れ。 「麻」主宰菊地麻風に師事。昭和57年「麻」継承主宰。句集:『冬すみれ』『たんぽぽ』『夢重力』『史前の花』母の国足裏に續きゐて枯野板の間に素足の指をひらきけり幸せのぎゆうぎゆう詰めやさくらんぼ下村梅子 (しもむら うめこ)明治45年(1912)~平成24年(2012)100歳。 福岡県生れ。神奈川県在住。 「かつらぎ」特別同人。阿波野青畝に師事。「かつらぎ」 の代表作家。夫は俳人の下村非文。俳人協会名誉会員。※旧制別府高女出身。句集:『紅梅』『沙漠』『長恨歌』『花』読初の春はあけぼのなるくだり照れば金日かげれば銀芒かな屏風の図ひろげてみれば長恨歌人麻呂忌枕詞は美しきなんなんとして一世紀お元日菖蒲あや (しょうぶ あや)大正13年(1924)~平成17年(2005)81歳。 東京都生れ。 「春嶺」主宰富安 風生,岸風三楼に師事。「若葉」「春嶺」同人。「春嶺」3代目主宰を継承。第7回俳人協会賞受賞。句集:『路地』『あや』『鶴の天』美しき月夜の屋根に炭団干す炭背負ひ仰ぐといふこと父になし炭屋死す高きに梯子かけてあり路地に生れ路地に育ちし祭髪清水哲男 (しみず てつお) *俳号:赤帆。昭和13年(1938)東京都生れ。詩人。弟に詩人の清水昶がいる。もともと俳句を書いていたが、京大在学中に第1詩集を刊行。編集者生活を経て同人誌「ノッポとチビ」に参加。H氏賞・ 第35回土井晩翠文学賞・第2回萩原朔太郎賞・第1回詩歌文学館賞(現代詩部門)・第1回三好達治賞受賞。ホームページ『増殖する俳句歳時記』を運営する。句集:『匙洗う人』『打つや太鼓』関東平野に雨が一粒秋刀魚焼く愛されず冬の駱駝を見て帰るさるすべり男盛りがつかんだ死しょうり 大 (しょうり だい)昭和18年(1941) 愛知県生れ。 「鷹」「豈」藤田湘子に師事。「鷹」期待の新人として登場。「鷹」同人。のち「俳句評論」にも参加、同人。高柳重信編集長の「俳句研究」第1回五十句競作で佳作第1席、第3回で1位入選の金的を射止める。第1回競作の作品はこの人一代の絶唱とする。句集:『』憶良らの近江は山かせりなずな枕にて死なむ大和よゆきかふ蛾海は荒海むかう通るは首なしダリか天涯の我は尿るや火のさかき死を待つと夏ざぶとんを重ねおく白木 忠 (しらき ちゅう)昭和17年(1942)~平成25年(2013)70歳。 岐阜県生れ。愛知県在住。 「韻」小川双々子に師事。「地表」同人。終刊後「韻」同人。元「豈」同人。昭和43年第2回地表賞受賞.句集:『牢として風のなか』『君不知』『暗星』一人ゐて一人が暗しビアガーデン欲望の川曲りゆく朝ぐもり河にをけるけものに母の名をつける表現の余白まぶしき八月や戦死者のその名ヤンバルクロギリス下村槐太 (しもむら かいた)明治43年(1910)~昭和41年(1966)56歳。 大阪生れ。15歳で岡本松浜に師事。戦後「火星」に参加、中心作家として活躍。2年で辞し自ら同人誌「鞭」「海比岸」を創刊。のち主宰誌「金剛」を創刊するがいずれも短期で終刊。門下に金子明彦,林田紀音夫,堀 葦雄、火渡周平らがいる。句集:『光背』『天涯』『下村槐太全句集』死にたれば人来て大根煮(た)きはじむ路地の露滂沱たる日も仕事なし括らねば日の枯桑の魂ほぐれ心中に師なく弟子なくかすみけり志摩 聡 (しま そう)*のち原 聰一に改名昭和3年(1928) ~平成15年(2003) 岐阜県生れ。 無所属加藤かけい、富沢赤黄男のち高柳重信に師事。元「俳句評論」「騎」同人。句集:『機罐車ネロ』『渤海薔薇』『志摩聰全句集』『黄體説』地獄絵の裏にまはれば鰊蕎麦天塩や月を消さむと消ゆる帷子のざらしを鮒来てかこむ星座跡*黄 海軟風(き かいなんぷう)黄帆走魚 (こうはんそうぎょ)黄葡萄酒 (きぶどうしゅ)篠田悌二郎 (しのだ ていじろう) *旧号 春蝉明治32年(1899)~昭和61年(1986)86歳。 東京生れ。「野火」水原秋櫻子に師事。「馬酔木」同人。昭和21年「野火」創刊主宰。第1回馬酔木賞受賞。句集:『四季薔薇』『青霧』『風雪前』『桔梗濃し』ほか暁やうまれて蝉のうすみどり芒原枯れて光れり人に逢はず春蝉や多摩の横山ふかからず寒椿落ちたるほかに塵もなし寝しわれにさやり吊らるる秋の蚊帳篠原 梵 (しのはら ぼん)明治43年(1910)~昭和50年(1975)65歳。 愛媛県生れ。臼田亜浪に師事。「石楠」同人。「中央公論」編集長、社長など歴任。※旧制松山高・東京帝大文学部国文科出身句集:『皿』『雨』『年々去来の花』葉桜の中の無数の空さわぐ扇風機止り醜き機械となれり閉ぢし翅しづかにひらき蝶死にき手毬唄片言にいふをともに言ふ島田牙城 (しまだ がじょう)昭和32年(1957)京都府生まれ。長野県在住。 「里」昭和49年波多野爽波に師事。「青」編集長を経て、「青」退会。平成8年今井聖の「街」創刊に同人参加。「里」創刊。第1回雪梁舎俳句大賞受賞。句集:『火を高く』『袖珍抄』『誤植』大好きな櫻であれば振り返る麥秋の仙気と酒にある因果三界に末黒の葱を抜きすすむ反りかへる天空涼夜ともちがふ凍つる池こんちくしやうを飼ふとせむ嶋田洋一 (しまだ よういち)大正2年(1913)~昭和54年(1979)65歳。 東京生れ。父、嶋田青峰につき俳句を学ぶ。昭和8年「土上」同人。同9年「早稲田俳句」を創刊。新興俳句の推進者のひとり。戦後「青玄」を経て昭和43年大野我羊の「東虹」に 同人参加。※早稲田大学出身。句集:『洋一句集』ほか山脈(やまなみ)に冬くる牛の斑濃き秋風にとまれる汽車の罐(かま)鳴りぬ島谷征良 (しまたに せいろう)昭和24年(1949)広島県生れ。神奈川県在住。 「風土」・「一葦」主宰石川桂郎に師事。中学3年から俳句をはじめる。「風土」同人。27歳で「一葦」を創刊。第5回風土賞受賞。句集:『卒業』『鵬程』『履道』『舊雨今雨』『南箕北斗』かたまつて生くるさびしさ蝌蚪も人も人間(じんかん)に毛深き蝿の生れけり曙や蘂を離さず梅ひらく裸木よなきがらよりはあたたかし塩野谷 仁(しおのや じん)昭和14年(1939)栃木県生れ。千葉県在住。 「遊牧」代表・「海程」金子兜太に師事。昭和37年「海程」創刊とともに入会、のち同人。八木三日女の「花」にも参加,同人。平成11年「遊牧」創刊。第3回花賞・第18回海程賞・第62回現代俳句協会賞受賞。句集:『円鐶』『独唱楽譜』『東炎』『荒髪』『全景』『私雨』『夢祝』地球より水はこぼれず桜騒紅茸を蹴り夭折に遅れおり走らねばてのひら冥し秋の水かくじつに階段は果つ天の川三日後の朧の夜なら狂えそう柴田佐知子(しばた さちこ)昭和24年(1949)福岡県生れ。 「空」主宰・「白桃」伊藤通明に師事。昭和61年「白桃」入会、のち編集長を務める。平成15年「空」創刊。白桃賞・白桃同人賞・第7回俳壇賞・第25回福岡市文学賞・第22回俳人協会新人賞受賞。句集:『筑紫』『歌垣』『母郷』『垂直』レース編む夜とぶ鳥を思ひつつ秘すことのはじめ手毬を背に廻し能面の裏は月夜の山河かなマフラーを巻いてやるすこし絞めてやる清水基吉(しみず もとよし)大正7年(1918)~平成20年(2008)89歳。東京生れ。 *作家 「日矢」主宰石田波郷に師事。「鶴」同人。のち「日矢」主宰。前鎌倉文学館館長。俳人協会顧問。第20回芥川賞受賞。『清水基吉全句集』ほか観音の千手の一手蝶招く永らへて湯豆腐とはよくつきあへり骨納む名残の雪の降るわ降るわ渋川京子(しぶかわ きょうこ)昭和9年(1934)東京都生まれ。 「頂点」「面」「明」昭和50年和知喜八の「饗焔」に入会。のち「面」「頂点」「国」「ぽお」に参加。第7回饗焔賞・第15回現代俳句協会新人賞・第66回現代俳句協会賞受賞。句集:『レモンの種』ひろびろと腹上はあり夏あかつき仏壇のなかは吹き抜け鳥帰る山頂に置き忘れたる懐手菊炊いて夜の濃淡たしかめる白濱 一羊 (しらはま いちよう)昭和33年(1958) 岩手県生れ。 「樹氷」主宰小原啄葉に師事。平成5年「樹氷」入会。平成23年「樹氷」主宰を継承。句集:『喝采』完璧といふ曲線の寒卵原発へ繋つてゐる春炬万愚節伏せ字に代はる自主規制戦争のはじまつてゐる桜かな
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