攝津幸彦 (せっつ ゆきひこ)
 昭和22年(1947)~平成8年(1996)49歳。 兵庫県生れ。埼玉県在住。  「豈」
 大学時代,学友の伊丹啓子に俳句を誘われる。「日時計」創刊。高柳重信時代の「俳句研究」第1回50句競作に佳作第1席。以後つづけて参加する。将に高柳に対する渾身の挑戦でもあった。ここで代表句をものしている。「豈」 創刊。 ※関西学院大出身
 句集:『姉にアネモネ』『鳥子』『與野物語』『鳥屋』『鸚母集』『陸々集』   著作:『俳句前景 摂津幸彦全文集』
      南浦和のダリヤを仮のあはれとす
      千年やそよぐ美貌の夏帽子
     
      幾千代も散るは美し明日は三越
      南国に死して御恩のみなみかぜ
      物干して美しき知事垂れてをり
      階段を濡らして昼が来てゐたり
      塩の手で触る納戸の日章旗
      国家よりワタシ大事さくらんぼ
      露地裏を夜汽車と思ふ金魚かな
      荒星や毛布にくるまるサキソフォン
     
     
仙田洋子 (せんだ ようこ)
 昭和37年(1962) 東京都生れ。 「秋」「天為」
 石原八束に師事。高校時代から作句。「秋」「天為」同人。
 句集:『橋のあなたに』『雲は王冠』『仙田洋子集』『子の翼』

      父の恋翡翠飛んで母の恋
      雪渓に蝶くちづけてゐたりけり
      冬銀河かくもしづかに子の宿る
      百年は生きよみどりご春の月
      山笑ふ胎動ときに臍の裏 
      さみだるる沖にさびしき鯨かな
     
攝津よしこ (せっつ よしこ)
 大正9年(1920) 京都府生れ。大阪府在住。  「草樹」
 桂信子に師事。「青玄」を経て桂信子の「草苑」創刊に同人参加。摂津幸彦の母。第8回草苑賞・第26回角川俳句賞受賞。
 句集:『桜鯛』『夏鴨』『珈琲舘』 
      青梅や火の手上らぬ昼の火事
      手さぐりの昨日につづく蓬原   
      父を怖れて太平洋を泳ぐなり
      夢の世や珈琲館はいまも雪
      梟に夢をあずけし旅寝かな

 
 
妹尾 健 (せのお けん)
 
 昭和23年(1948) 兵庫県生れ。「草樹」「豈」
 大学時代より作句。「草苑」に所属するも終刊とともに「草樹」創刊に参加。草苑賞受賞。
 句集:『綴喜野』『洛南』  著作:『俳句との遭遇』『詩美と詩魂』
     遺影あり軍装あつくなほ解かず
     芥捨つるばかりの川の涸れにけり
     敵とする人のやさしき年賀状
 
関戸靖子(せきど やすこ)
 昭和6年(1931)~平成21年(2009)78歳。滋賀県生れ。京都府在住。  「泉」・「声」主宰
 石田波郷に師事。昭和28年「鶴」入会。同人経て昭和49年「泉」創刊に同人参加。平成7年「声」創刊主宰。第16回風切賞・第2回飛石賞受賞。
 句集:『湖北』『結葉』『春の舟』『紺』
     壬生の面したたか泣きて汚れけり
     衣紋竹なにもかけねばなまなまし
     雛の夜の布団の端を子に重ね
  
 
関森 勝夫(せきもり かつお)
 昭和12年(1937) 神奈川県生れ。 「蜻蛉」主宰
 大野林火に師事。昭和33年「濱」入会。同47年同人。昭和60年「蜻蛉」創刊,主宰。俳人協会顧問。静岡県立大学名誉教授。平成2年静岡市学術芸術奨励賞受賞。
 句集:『鷹の眼』『親近』『羽衣』志太』『天年』 著作:『文人たちの句境』『四季のはな』ほか 
     燐寸すれば森の揺るるよ青葉木莬
     この道の外ふりむかず大花野
     ひたと来て声の火のつく油蝉
     冠雪の富士見そなはす羽衣能
     
 
関 悦史 (せき えつし)
 昭和44年(1969)茨城県生れ。 「豈」
 「豈」同人。
 第2回芝不器男新人賞(城戸朱理奨励賞)・第11回俳句界評論賞・第3回田中裕明賞受賞。
 句集:『六十億年の回転する曲がった棒』『花咲く機械状独身者たちの活造り』
     地下街を蒲団引きずる男かな
     金網に傘刺さりけり秋の暮
     人類に空爆のある雑煮かな
     春眠や地獄の門に呑まれつつ

俳句舎の俳人名鑑

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