村越化石 (むらこし かせき)
 大正11年(1922)~平成26年(2014)91歳。 静岡県生れ。群馬県在住。  
 大野林火に師事。昭和9年ハンセン氏病にかかり草津の療養所に入る。45年に両眼失明したが,俳句を作りつづけた。「濱」同人。第4回角川俳句賞・第14回俳人協会賞・第17回蛇笏賞・第4回読売文学賞・文学の森第8回山本健吉文学賞・第10回鬣TATEGAMI賞受賞。
 句集:『独眼』『山国抄』『端座』『筒鳥』『石と杖』『八十八夜』『螢袋』『八十路』『団扇』『籠枕』
     除夜の湯に肌触れあへり生くるべし
     生き堪へて七夕の文字太く書く
     凍晴(いてばれ)を障子もつとも知れるなり
     いて百合の香を深く吸ふさへいのちかな
     山眠り火種のごとく妻が居り
     わが前をわが杖ゆきて春の道
     愛一つ二つ三つ四つ雛あられ
     老いてわれ生まれながらの柿を食ふ

 
村井和一 (むらい かずいち)
 昭和6年(1931)~平成23年(2011)79歳。 東京都生れ。 「西北の森」
 幡谷東吾に師事。元「花実」同人。現代俳句協会副会長。※早稲田大学国文学科及び政経学部経済学科出身。
 句集:『洪笑美族』『未然』『敗北主義・正編』『もてなし』  著作:『修羅の座標』
     軒が沈んでつごもりつごもる膝がしら

     桜散る個々に無数に社員踊り
     退屈の果てに蒟蒻押してみる
     雄鶏の一歩あゆめば九十九里


 
村上鬼城 (むらかみ きじょう)
 慶応元年(1865)~昭和13年(1938)73歳。 東京生れ。
  ホトトギス虚子選雑詠で計12回の巻頭を得る。虚子は『古今独歩の人』,大須賀乙字は『明治大正俳壇の第一人者』と、また蛇笏は『当代第一の作家』と評し、なかでも乙字が最も高い評価をした。
 句集:『定本鬼城全句集』  著作:『村上鬼城全集全3巻』
     冬蜂の死にどころなく歩きけり
     闘鶏の眼つむれて飼はれけり
     痩馬のあはれ機嫌や秋高し 
     今日の月馬も夜道を好みけり
     榛名山大霞して真昼かな 
     生きかはり死にかはりして打つ田かな
     五月雨や起き上がりたる根無草
     ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな
 
 
村上喜代子 (むらかみ きよこ)
 昭和18年(1943) 山口県生れ。千葉県在住。 「いには」主宰
 大野林火に師事。昭和51年「濱」入会、のち同人。平成6年大串章の「百鳥」創刊に参加。編集同人。平成17年「いには」創刊。第15回俳人協会新人賞受賞。
 句集:『雪降れ降れ』『つくづくし』『八十島』『間紙』      
      美しき生いたちを子に雪降れ降れ
      鳴きだして重くなりたる虫の籠
      間紙(あいがみ)のうすむらさきも雛の頃
      
 
 
武藤紀子 (むとう のりこ)
 昭和24年(1949) 石川県生れ。愛知県在住。  「円座」主宰
 宇佐美魚目に師事。「晨」「古志」同人。平成23年「円座」創刊、主宰。
 句集:『円座』『朱夏』『百千鳥』『冬干潟』
      斑猫の消えしと見ればふえてをり
      蚕豆は昔の顔をしてゐたる
      フランスの国のかたちの枯葉かな
      昼寝覚柳になつてゐたりしが
 
 
室生幸太郎 (むろう こうたろう)
 昭和8年(1933) 岡山県生れ。大阪府在住。  「暁」代表
 日野草城に師事。昭和27年「青玄」入会、同人。「青玄」終刊により平成19年「暁」を創刊。昭和37年青玄賞・平成20年第63回現代俳句協会賞受賞。
 句集:『海辺』『夕景』『昭和』ほか
      母をなおこの世にのこすぼたん雪
      懲りない老人さくらにバンザイバンザイして
      咲き満ちてさくら昭和を遠くする
 
 
村上 護 (むらかみ まもる)
 昭和16年(1941)~平成25年(2013)71歳。 愛媛県生れ。 東京在住。 文芸評論家
 人物評伝に優れた著作を残す。俳句に関する評論多数。※愛媛大学出身。 
句集:『其中つれづれ』  著作:『放浪の俳人山頭火』『放哉評伝』『聖なる無頼 坂口安吾』ほか 編著:『明治俳句短冊集成(全三巻)』ほか
     ひと枡に一字一字や目借時
     四方見ゆる其中つれづれ日永かな
     ぽっとりと命にからむ椿かな
    
 
村上鞆彦 (むらかみ ともひこ)
 昭和54年(1998) 大分県生れ。 東京都在住。 「南風」主宰
 鷲谷七菜子、山上樹実雄に師事。平成10年「南風」入会。編集長を務める。平成26年主宰。第39回俳人協会新人賞受賞。
 句集:『遅日の岸』
     枯蟷螂人間なつかしく見る
     父の日の夕暮の木にのぼりけり

俳句舎の俳人名鑑

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