榎本冬一郎 (えのもと ふゆいちろう)
 明治40年(1907)~昭和57年(1982)74歳。 和歌山県生れ。  「天狼」同人・「群蜂」主宰
 馬酔木(山口誓子選)に投句、誓子に師事。誓子の馬酔木離脱と行動をともにして、「天狼」創刊に同人参加。別に「群蜂」を創刊して没年まで主宰。
 句集:『眼光』『鋳像』『背骨』『尻無河畔』『榎本冬一郎全句集』ほか
 
     ぎらぎら青し泥より芦立つ血族婚
     尾てい骨で坐る赤ん坊の星祭
     メーデーの中やうしなふおのれの顔
     根の国の祖(おや)への道のとりかぶと
     凍蝶のいまわのきわの大伽藍
 
 
江里昭彦 (えざと あきひこ)
 昭和25年(1950) 山口県生れ。 「未定」「鬣」同人
 「京大俳句」編集長、同人誌「日曜日」を経て「未定」同人。第16回現代俳句協会評論賞受賞。
 句集:『ラディカル・マザー・コンプレックス』『ロマンチック・ラブ・イデオロギー』『クローン羊のしずかな瞳』
     睡る手がペニスを握るかたちせり
     二枚舌だからどこでも舐めてあげる
     
     月の出や口をつかいし愛のあと
     盛装し下着はつけづ観る桜
     
 
榎島砂丘 (えじま さきゅう)*旧名:指宿砂丘
 明治40年(1907)~平成3年(1991)84歳。 鹿児島県生れ。愛知県在住。
 「旗艦」の前身の一誌「ひよどり」を経て「旗艦」の創刊に参加。のち「太陽系」「俳句評論」同人。同人誌「街路樹」発行。※旧制七高・京都帝大法学部出身
     球根に水鬱(うつ)として昼長けぬ
     街路樹の影黙々と保税地区
     外套に疎林の影をまとひゆく
     剥製の極楽鳥のぼろを焼く
     
 
榎本好宏 (えのもと よしひろ)
 昭和12年(1937) 東京都生れ。神奈川県在住。 「件」「航」代表
 森澄雄に師事。 昭和45年「杉」創刊に参加。昭和49年より「杉」編集長を務めた。平成27年「航」創刊代表。第49回俳人協会賞・第29回俳人協会評論賞受賞。
 句集:『寄竹』『素声』『方寸』『四序』『三遠』『奥会津珊々』『会景』『祭詩』『南溟北溟』
     金亀虫アッツに父を失ひき
     枕絵といふ菜の花のごときもの
     足音も鯖街道の夜長かな
     独活食うて世に百尋も後れけり
     数へ日の話し足りなき母帰す
  
 
江川一枝 (えがわ かずえ)
 昭和14年(1939)東京都生まれ。 「円錐」
 永田耕衣に師事。昭和50年「琴座」入会。52年同人。「らんの会」を経て「円錐」同人。第10回六人の会賞受賞。
 句集:『』
      人垣の顔のひとつは木の葉髪
      おとなたちばかりや荒ぶ揚羽蝶
      亡ばざる人よ空地は犬ふぐり
 
 
遠藤若狭男 (えんどう わかさお)
 昭和22年(1947) 福井県生れ。神奈川県在住。 「若狭」主宰
 鷹羽狩行に師事。昭和58年「狩」入会。同人、編集長を務めた。平成27年「若狭」創刊主宰。
 句集:『神話』『青年』『船長』『去来』『旅鞄』 著作:『鷹羽狩行研究』
     登山馬よろけついでに歩き出す
     初鴉の次の声待つ山河かな
     雪国の逢ふも別れも雪の上
     人間の証明として枯野ゆく

俳句舎の俳人名鑑

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