「わ」一覧

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俳句舎の俳人名鑑

鷲谷七菜子 (わしたに ななこ)
 大正12年(1923)~平成30年(2018)95歳。大阪府生れ。 「南風」名誉顧問
 水原秋桜子、山口草堂に師事。昭和17年「馬酔木」入会。同人。昭和21年山口草堂の「南風」に入会。草堂没後「南風」を継承主宰。のち山下樹実雄に主宰を譲り名誉顧問。俳人協会顧問。平成18年限りで句作を打ち切る<断筆>を宣言。第2回現代俳句女流賞・第23回俳人協会賞・平成17年度第39回蛇笏賞受賞。※旧制夕陽丘高女出身。
 句集:『黄炎』『銃身』『花寂び』『游影』『天鼓』『一盞』『晨鐘』  著作:『咲く花散る花』『古都残照』『四季燦燦』ほか
     十六夜ちひさくなりし琴の爪
     滝となる前のしづけさ藤映す
     行きずりの銃身の艶猟夫の眼
     
     行き過ぎて胸の地蔵会明りかな
     牡丹散るはるかより闇来つつあり
     髪洗ひゐて茫々の山河かな
     籠枕こころに高嶺ありし日や
    


渡辺白泉 (わたなべ はくせん)
 大正2年(1913)~昭和44年(1969)55歳。 東京都生れ。
 馬酔木に投句。翌年「句と評論」に投句。新興俳句の有力な新鋭として注目される。「京大俳句」「天香」に参加.戦争批判俳句の傑作を残す。京大俳句弾圧事件に連座して検挙される。戦後の俳壇で活躍することはなかった。*慶応義塾大経済学部出身
 句集:『渡辺白泉全句集』
     街燈は夜霧にぬれるためにある
     鶏たちにカンナは見えぬかもしれぬ
     銃後といふ不思議な町を丘で見た
     繃帯を巻かれ巨大な兵となる
     憲兵の前で滑つてころんじやつた
     戦争が廊下の奥に立つてゐた
     玉音を理解せし者前に出よ
     地平より原爆に照らされたき日


 
和田悟朗 (わだ ごろう)
 大正12年(1923)~平成27年(2015)91歳。 兵庫県生れ。奈良県在住。 「風来」代表
 橋閒石の「白燕」に参加,同人。のち「俳句評論」,「渦」同人。平成4年「白燕」の代表。平成21年「白燕」終刊、「風来」創刊。現代俳句協会顧問。第16回現代俳句協会賞・兵庫県文化賞・大阪芸術功労賞・第7回現代俳句大賞・第64回読売文学賞(詩歌俳句賞)受賞。理学博士・奈良女子大学名誉教授(化学)。※旧制一高・大阪帝大理学部出身。
 句集:『七十万年』『現』『山壊史』『櫻守』『法隆寺伝承』『少閒』『即興の山』『坐忘』『人間律』『風車』  著作:『現代の諷詠』『俳句と自然』『俳句文明』ほか
     みみず地に乾きゆくとき水の記憶
     秋の入水眼球に若き魚ささり
     春の家裏から押せば倒れけり
     親鸞と川を距てて踊るかな
     少年をこの世に誘い櫻守
     わが庭をしばらく旅す人麻呂忌
     寒暁や神の一撃もて明くる
     冬山の姿定まり坐忘かな
     抽象と具象のあいだ神戸冷ゆ
     人間であること久し月見草
     着膨れの中は裸よただ歩く
     
    
 渡辺恭子 (わたなべ きょうこ)
 昭和8年(1933) 東京都生れ。 「新月」代表
 渡辺水巴,桂子の次女。小学生の時から父、水巴に俳句の手ほどきを受ける。昭和50年より「曲水」に投句。第33回水巴賞受賞。昭和57年母、桂子から「曲水」を継承主宰。平成24年終刊、「新月」創刊代表。
  句集:『佐保姫』『花野』『涼しさだけを』『餅焦がす』『初鏡』
       竹林に蛍の星座組まれけり
       人訪ひて炭火賜ふも天城かな
       不揃ひに啼き白鳥の声揃ふ
       虹鱒の斑をこぼさずに焼かれけり
 
 
渡辺水巴 (わたなべ すいは)
 明治15年(1882)~昭和21年(1946)64歳。 東京生れ。「曲水」創刊主宰。 
 内藤鳴雪に師事。のち虚子の選を受ける。大正初期「ホトトギス」の主要作家。大正5年情調本位の俳句を標榜し「曲水」を創刊主宰。 
 句集:『水巴句集』『水巴句帖』『隈笹』『白日』『富士』『新月』ほか
       白日は我が霊(たま)なりし落葉かな
       ひとすぢの秋風なりし蚊遣香
       てのひらに落花とまらぬ月夜かな
       寂寞(じやくまく)と湯婆に足をそろへけり
       うすめても花の匂の葛湯かな
   
 
渡辺千枝子 (わたなべ ちえこ)
 大正14年(1925) 東京都生れ。神奈川県在住。 「馬酔木」
 水原秋桜子に師事。「馬酔木」同人、ながく編集に携わる。昭和51年馬酔木賞受賞。
 句集:『海のこゑ』『さくらどき』『残響』『星辰』
      如月や人の華燭の銀の匙
      亡き人は海歩み来よさくらどき
      春の闇この世のほかの花身ゆる
      峰雲や行進曲に国滅び
 
 
和田順子(わだ じゅんこ)
 昭和12年(1937)兵庫県生まれ。神奈川県在住。 「繪硝子」主宰
殿村菟絲子に師事。昭和49年「万蕾」入会。のち「絵硝子」「街」同人を経て、平成12年「絵硝子」主宰。万蕾賞・群青賞受賞。
 句集:『五月』『錐体』『ふうの木』『黄雀風』
     眼の大き鶯笛を買ひにけり
     おとうとが一人黄菖蒲咲いてをり
     日本の昔が涼し栢(かや)の森
    
 
和田耕三郎 (わだ こうざぶろう)
 昭和29年(1954) 茨城県生れ。東京都在住。 「OPUS」
 野沢節子に師事。昭和51年「蘭」入会。編集長、副主宰を務める。「OPUS」創刊、代表同人。第8回蘭賞・蘭同人賞受賞。
 句集:『水瓶座』『午餐』『燃』『青空』
     ゼラニウム男二人の真昼時
     一月や裸身に竹の匂ひして
     夜のさくらわれは全裸となり眠る
 
 
和知喜八 (わち きはち)*旧号:樹蜂
 大正2年(1913)~平成16年(2004)91歳。東京生れ。神奈川県在住。  「響焔」名誉主宰
 馬酔木に投句。波郷,楸邨を知る。昭和15年「寒雷」創刊に参加。昭和33年「響焔」を発刊。のち主宰。平成16年第4回現代俳句大賞受賞。*中央大学出身
 句集:『和知喜八句集』『同齢』『羽毛』『川蝉』『父の花火』『五階の満月』
      月の砂漠をはるばると壷のまわり
      寝るときのこでこぼこの夏蜜柑
      ヨイトマケ日焼け煙出す田舎風呂屋
      憂国や眼を置く陽に眼鏡置く
      下駄の上に蟻あらはれて泣く如し
 
 
渡辺誠一郎 (わたなべ せいいちろう)
 昭和25年(1950) 宮城県生れ。 「小熊座」
 佐藤鬼房に師事。「小熊座」同人。編集長を努める。第1回小熊座賞・第3回中新田俳句大賞スエーデン賞・第14回俳句四季大賞・第70回現代俳句協会賞受賞。
 句集:『余白の轍』『渡辺誠一郎句集』『潜水艦(私家版』『数えてむらさきに』『地祇』
      満天の星の一つは毛深くて
      軍艦に乗って遥かな雪達磨
      影の数人より多し敗戦忌
      千年の沖行く闇の鯨かな
      漂泊は鶴の骸を見るためか 
   
若井新一 (わかい しんいち)
 昭和22年(1947)新潟県生れ。  「狩」 
 鷹羽狩行に師事。昭和55年目崎徳衛の「花守」入会。昭和56年「狩」入会、同人。第43回角川俳句賞・第7回宗左近俳句大賞・第54回俳人協会賞受賞。
 句集:『早苗饗』『雪意』『雪田』『冠雪』『雪形』
      吊されし新巻の歯のかみ合はず
      薫風や山ふところに産湯桶
      畦塗るやちちははの顔映るまで
 
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