寺井谷子 (てらい たにこ)
 昭和19年(1944) 福岡県生れ。 「自鳴鐘」主宰。
 横山白虹・横山房子の四女。10歳から作句。昭和41年より「自鳴鐘」の編集に携わる。「花曜」同人。「自鳴鐘」副主宰として主宰房子を補佐。平成19年3代目主宰を継承。第30回自鳴鐘賞・第39回現代俳句協会賞・北九州市民文化賞・第7回桂信子賞受賞。
 句集:『笑窪』『以為』『街・物語』『母の家』
     庁舎に桜生きても死んでも紙一枚
     産むというおそろしきこと青山河
     骨細を知られてよりの秋の蛇
     春愁や蛇となる髪解き放ち
     男にも鎖骨の翳り草ひばり
     母の家まで六百五十歩春の雨
 
 
寺井 文子(てらい ふみこ)
 大正12年(1923)~平成12年(2000) 兵庫県生れ。 「草苑」
 多彩な師系。日野草城、神生彩史、永田耕衣、桂信子に師事。「琴座」などの同人。桂信子の「草苑」創刊に同人参加。第1回草苑賞受賞。
 句集:『密輸船』『弥勒』『寺井文子遺句集』
     完璧な墨絵の沖の密輸船
     夕虹や砲丸投げがひとり居り
     白鳥の首の中の弥勒かな
     陽炎やひたすら象をあやつりぬ
     一夜経て姥となりけり桃の花
 
 
寺田京子 (てらだ きょうこ)
 大正14年(1925)~昭和51年(1976)54歳。 北海道生れ。「寒雷」「杉」
 加藤楸邨に師事。「寒雷」に投句、同人。「杉」創刊同人。放送作家。第15回現代俳句協会賞受賞。
 句集:『冬の匙』『日の鷹』『鷺の巣』『雛の晴』
     日の鷹がとぶ骨片となるまで飛ぶ
     頭上よりシャワー見えざる鷹が飛ぶ
     セルを着て遺書は一行にて足りる
     樹氷林男追うには呼吸足りぬ
     凧とぶや僧きて父を失いき

 
寺山修司 (てらやま しゅうじ)
 昭和10年(1935)~昭和58年(1983)47歳。青森県生れ。東京都在住。
 高校時代俳句に熱中,各誌に多くの作品を発表する。「牧羊神」を創刊。高校生俳人として名を知られた。昭和30年以後,俳句から離れる。昭和50年句集花粉航海』を発刊。ここで復活して見せたが、作句活動は続けなかった。俳句から短歌,詩そして演劇等多彩な才能を発揮した。昭和42年「演劇実験室・天井桟敷」を結成。昭和29年「短歌研究」第2回五十首詠特選・昭和39年、昭和40年、芸術祭奨励賞・第1回久保田万太郎賞・昭和41年芸術祭賞・放送記者クラブ賞受賞*県立青森高校出身。 早大教育学部に学ぶ。
 句集:『われに五月を』『わが金枝篇』『花粉航海』『わが高校時代の犯罪』『寺山修司俳句全集』 著作:歌集、詩集、戯曲集、小説、シナリオ、演劇論ほか多数。
     目つむりていても吾(あ)を統(す)ぶ五月の鷹  
     わが夏帽どこまで転べども故郷
     花売車どこへ押せども母貧し
     林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき
     ラグビーの頬傷ほてる海見ては
       * * * *
     父を嗅ぐ書斎に父を幻想し
     暗室より水の音する母の情事
     母恋し鍛冶屋にあかき鉄仮面
     母とわが髪からみあう秋の海
     姉と書けばいろは狂いの髪地獄
   
    
手塚美佐 (てづか みさ)
 昭和9年(1934) 神奈川県生れ。茨城県在住。 
 石川桂郎編集の「風土」創刊にかかわる。のち、桂郎と結婚。桂郎没後永井龍男に師事。岸田稚魚「琅玕」創刊同人。平成元年主宰を継承。平成25年2月をもって終刊。茨城文学賞受賞。
 句集:『昔の香』『中昔』『猫釣町』
       身の奥の百物語秋ついり
       今生の狂ひが足らず秋螢
       花鳥風月虫を加へてゆめうつつ
       夏果てやはるかなものに土不踏
       猫釣町パリにあるてふ朧かな
       闇恋うて蟇の漂流始まれり


 
寺田澄史 (てらだ きよし)
 昭和6年(1931)~平成30年(2018)86歳。 新潟県生れ。東京都在住。  「騎」同人
 高柳重信門。「薔薇」を経て昭和33年「俳句評論」創刊に参加。同人。のち「騎」同人。俳句評論賞に挑戦、佳句を残す。
 句集:『副葬船』『がれうた航海記』『新・浦嶼子伝』
      されば死鯨ぶりの ゆたにゆたに
      柿くへばあれ複葉機は奔るなれ
      日に三たび汝は自転車に縛らるれ
      露の葉やすふいんくすを夜飼する
      鬼蓮を裂けばむかうも昼なりき
      

出口善子 (でぐち よしこ)
 昭和14年(1939) 大阪府生れ。 「六曜」代表
 鈴木六林男に師事。「花曜」同人。平成17年「花曜」解散後,「六曜」創刊代表。第16回花曜賞受賞。
 句集:『瞬』『亂聲』『貝の華』『刺茨牡丹』『わしりまい』『羽化』
     十三夜少女しずかに血を流す
     少年を左手(ゆんで)に誘い桃採りに
       大勢に一人ひとりに雪降れり
     六林男亡し忍び返しに冬夕焼け
 
 
手代木唖々子 (てしろぎ ああし) 
 明治37年(1904)~昭和57年(1982)78歳。 北海道生れ。 「海程」・「合歓」主宰
 昭和15年「合歓」創刊主宰。のち「海程」に同人参加。
 句集:『天歩』
     夕焼は草負いかぶりても見ゆる
     乾く橇嗚咽はいつも背後より
 
照井 翆 (てるい みどり)
 昭和37年(1962) 岩手県生まれ。  「寒雷」・「草笛」同人。
 楸邨に師事。平成2年「寒雷」入会。「草笛」入会、同人。草笛新人賞・草笛賞・ 第20回現代俳句新人賞・第68回現代俳句協会賞特別賞・第12回俳句四季大賞受賞。
 句集:『針の峰』『水恋宮』『翡翠楼』『雪浄土』『龍宮』
       焚火して蝦夷(えみし)の貌に囲まるる
       蜃気楼地下三階は古代都市
       帰りたし子猫のやうに咥へられ
       双子なら同じ死顔桃の花
       寒昴たれも誰かのただひとり
  
 
照屋 真理子 (てるや まりこ)
 昭和37年(1951) 東京都生れ。 「季刊芙蓉」代表
 塚本邦雄に短歌と俳句を学ぶ。平成19年「季刊芙蓉」に参加。平成23年主宰須川洋子の死去とその遺志よって「季刊芙蓉」の代表に就く。
 句集:『月の書架』『やよ子猫』
     むかし螢いま仮初めの美少年
     切り株の夢の梢に小鳥来る
     この世にも少し慣れたかやよ子猫

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