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横山白虹 (よこやま はっこう)
明治32年(1899)~昭和58年(1983)84歳。 東京都生れ。福岡県在住。 「自鳴鐘」創刊主宰・「天狼」
吉岡禅寺洞に師事。「天の川」を経て昭和12年「自鳴鐘」創刊主宰。九大俳句会を設立。「天狼」同人。新興俳句運動の代表作家。昭和48年から逝去まで現代俳句協会会長を努めた。※旧制一高・九州帝大医学部出身
句集:『海堡』『空港』『旅程』『横山白虹全句集』
よろけやみあの世の螢手にともす
ラガー等のそのかちうたのみじかけれ
雪霏々と舷梯のぼる眸ぬれたり
胸の上にこほろぎが鳴くと云ひて死にし
きらめきて月の海へとながる丶缶
東京やベッドの下に蜘蛛ひからび
横山房子 (よきやま ふさこ)
大正4年(1915)~平成19年(2007)92歳。 福岡県生れ。 「自鳴鐘」主宰。
禅寺洞の「天の川」に投句。昭和12年横山白虹の「自鳴鐘」の創刊に同人参加。「女性俳句」創刊発起人の一人。昭和33年「天狼」に白虹と同人参加。昭和58年「自鳴鐘」継承主宰。夫は俳人の横山白虹。現代俳句協会顧問。※旧制鎮西高女出身。
句集:『背後』『侶行』『一揖』『干支の盃』『返り花』『横山房子全句集』
春夜脱ぐ割烹着より鈴ころがる
さくら照る家にあまたの握り飯
寒雷やひじきをまぜる鍋の中
時の日のエスカレーターすれちがふ
夜ざくらの坂より座敷の中見ゆる
吉岡禅寺洞 (よしおか ぜんじどう)
明治22年(1889)~昭和36年(1961)71歳。 福岡県生まれ。「天の川」
15歳で新聞「日本」の碧梧桐選に投句。2年後「ホトトギス」に投句。同人になる。大正7年「天の川」創刊。「九大俳句会」を指導。新興俳句運動を推進。無季俳句を提唱し昭和11年「ホトトギス」同人を除籍される。のち、口語俳句宣言を行う。
句集:『銀漢』『新墾』没後『定本吉岡禅寺洞句集』ほか
天の川この秋の客誰々ぞ
一握の砂を蒼海にはなむけす
露草の瑠璃をとばしぬ鎌試し
汽車たてばそこに猛暑の浪の群れ
吉田透思朗 (よしだ としろう)
昭和2年(1930)~平成28年(2016)88歳。 福井県生れ。「海程」「頂点」・「幹」代表
嵯峨柚子に師事。昭和30年「雪しろ」入会。以後「頂点」「海程」同人。「幹」代表
句集:『仮面の群れ』『光るこけし』
人はやがて銀河の梯子掛けてしまう
風花はまぶたを閉じるまでの花
熊谷へ枯木一本抱いてゆく
蓬田紀枝子 (よもぎた きえこ)
昭和5年(1930) 宮城県生れ。 「駒草」顧問
阿部みどり女に師事。平成6年「駒草」を継承主宰。平成16年西山睦に主宰をゆずるり、顧問となる。俳人協会顧問。第15回駒草賞・第14回俳人協会評論賞受賞。
句集:『野茨』『一文字』『青山椒』『はんてんぼく』
裏返る蝉のなきがら蝉時雨
屍(しかばね)の虫に冬雨の視線干す
振り塩を握ればぬくき旱かな
やませくる足長蜂のだらりくる
海鼠切り大海の水流れ出ず
依光陽子 (よりみつ ようこ)
昭和39年(1964) 千葉県生れ。東京都在住。 「屋根」「クンツアイト」
斎藤夏風に師事・平成5年「屋根」入会。平成8年屋根新人賞・第44回角川俳句賞受賞。
句集:『』
江戸川や金魚もかかる仕掛網
春水にゐてみぢんこもその他も
水を水と思はぬ魚や秋の雨
横須賀洋子 (よこすか ようこ)
昭和11年(1936) 神奈川県生れ。千葉県在住。 「未完現実」
西東三鬼に学び、「花実」の幡谷東吾に師事。のち「俳句評論」同人。夫は俳人の村井和一。
句集:『絆』『あんがい』『叱言』
カンナ見る十四の姉を見るごとく
やわらかい布でとりまくものがたり
良妻にあらまほしけれ大くさめ
大根煮る胸ほのぐらく匂わせて
吉野義子 (よしの よしこ)
大正4年(1915)~平成22年(2010)95歳。 愛媛県生れ。
大野林火に師事。元「浜」同人。昭和54年「星」創刊主宰平成15年終刊。父は言語学者の小川尚義。第1回俳句四季大賞受賞。※旧制県立松山高女出身。同志社女専英文科に学ぶ。
句集:『くれなゐ』『はつあらし』『鶴舞』『花眞』『流氷』『むらさき』
海底山脈山頂は島冬耕す
そらまめ剥き終らば母に別れつげむ
天に水流るるごとし鶴翔くは
吉田汀史 (よしだ ていし)
昭和6年(1931) 徳島県生れ。「航標」主宰
今枝蝶人に師事。昭和23年今枝蝶人の「向日葵」、昭和40年「航標」創刊に参加。昭和46年能村登四郎の「沖」に入会、同人。のち退会。昭和57年蝶人の死去により「航標」の主宰を継承。
句集:『四睡』『一切』『浄瑠璃』『海市』ほか
逃水に死んでお詫びをすると言ふ
天皇の通りし道の逃水追ふ
蚊柱や昔はみんな生きてゐた
軍艦と沈んでゐたる海鼠かな
鯛焼のはらわた黒し夜の河
四ツ谷 龍(よつや りゅう)
昭和33年(1958)北海道生れ。東京都在住。 「むしめがね」代表
昭和49年「鷹」入会。同人を経て昭和62年冬野虹と二人で「むしめがね」を発行。
句集:『慈愛』『大いなる項目』『夢想の大地におがたまの花が降る』 著作:『富澤赤黄男』
十九歳蜉蝣の胴紙に貼る
一月一日捧立の箒かな
汝と我万物凍ててうすくれなゐ
吉本伊智朗 (よしもと いちろう)
昭和7年(1932)~平成27年(2015)83歳。 兵庫県生。 「斧」主宰
橋本鶏二、波多野爽波に師事。昭和26年「雪(のち年輪)」入会、同人。昭和38年「青」入会、同人。昭和61年「斧」創刊主宰。
句集:『地耕』『壺折』『墨隅』『柝頭』『藍微塵』『和実』『時は今』
大巌に立つさなぶりの絵蝋燭
雪中の芹と離れて航一夜
湖風に押されてはこぶ澁の壺
新藁を括る新藁抜き放す
馬老いて虚空の露を舐めるなり
依田明倫 (よだ めいりん) ※旧号秋葭
昭和3年(1928)~平成29年(2017)89歳。 北海道生れ。 「ホトトギス」・「夏至」主宰
虚子、年尾に師事。昭和23年よりホトトギスに投句。巻頭16回。「夏至」主宰。
句集:『バイカル湖』『祖父逝くや』『そこより農地』『農場』ほか
かの映画ではサイレント夏怒涛
ぐぐぐぐと傾ぎまだまだ吹雪航く
がつたんと年越す寝台車の中で
吉田 鴻司 (よしだ こうじ)
大正7年(1918)~平成17年(2005)87歳。静岡県生まれ。 「河」
嶋田青峰に師事。角川源義を知り「河」創刊に参加。「河」選者、同人会長を務めた。第34回俳人協会賞受賞。
句集:『神楽舞』『山彦』『頃日』『平生』
酢牡蠣食べけむりのごとき雨に遇ふ
白鳥の胸を濡らさず争へり
東京のしぐれ木椅子を濡らすほど
葉桜の中の薄墨ざくらかな
吉田 未灰 (よしだ みかい)
大正12年(1923)~平成28年(2016)93歳。 群馬県生れ。 「やまびこ」主宰・「秋」
石原八束に師事。「秋」同人。昭和25年「やまびこ」創刊主宰。現代俳句協会顧問。群馬県文化功労者。高崎市文化賞受賞。
句集:『半狐』『独語』『刺客』『無何有』『恬淡』『淡如』ほか
シャボン玉の中に吾れをり毀れさう
右眼茫とし帰雁の列を左眼に嵌め
兜虫はかなしき玩具たたかへり
この先は知らぬ存ぜぬ道をしへ
横澤 放川(よこざわ ほうせん)
昭和22年(1947) 静岡県生れ。 「森の座」代表
中村草田男に師事。昭和50年「万緑」入会。同人。編集に携わり、同人欄の選者をつとめる。平成23年より「万緑」選者となる。尚、平成15年「件」に参加。平成29年「森の座」創刊。平成4年万緑賞受賞。
句集:『展掌』
父恋し氷の旗の波千鳥
春光に嘘ひとつなき馬ぞ立つ
夕雲雀空が扉をひらくまで
逝かれてもなほ胸騒ぎ冬の虹
吉村 鞠子 (よしむら まりこ)
昭和37年(1962)~平成29年(2017)55歳。 山形県生れ。神奈川県在住。 「LOTUS」
中村苑子に師事。「顔」、「未定」同人を経て平成26年「LOTUS」創刊同人。句歴27年。早逝が惜しまれる。
句集:『手毬唄』
水底のものらに抱かれ流し雛
金襴緞子解くやうに河からあがる
毬つけば男しづかに倒れけり
毬の中で土の嗚咽を聴いてゐた
水鳥の和音に還る手毬唄
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